【再アップ】ネアカ のびのび へこたれず
- 投稿日:2020年07月16日
- 作成者:
- カテゴリ:危機管理, 生き方
ダイエー創業者・中内功(※)さんの座右の銘です。
※ 名前の正式な用字は「功」ではなく
「㓛」(「工+刀」)
どんなに逆境のときでも、前向きに
希望をもって、生きることが大切である
との意味です。
新型コロナウイルス(以下、ウイルス)の新規確認
感染者数が増えていて、個々での自粛を求めるような
雰囲気になってきました。
しかし、、、
日々の新規確認感染者数だけで一喜一憂することは
あまり意味がないと思います。重症化人数をしっかり
モニタリングすべきです。
そして、医療システムが健在であるならば、経済活動を
推すべきです。再度、緊急事態宣言発令等で休業を
迫られた時、営業活動を休止せざるをえない
企業、店舗が激増します。
さて、30年以上前になりますが、
20代の一時期をダイエーで働いていました。
西宮勤務からはじまり、24歳で浜松町へ転勤、
平成元年までお世話になった会社です。
しかしながら、実際は、
席を置いていただけで、欠勤、遅刻はしょっちゅうで
システム納期は遅らせる、バグだらけのプログラムを
納品する、運用部門、ユーザ部門にも随分ご迷惑を
掛けていました。
社内昇進システムでは、新人が最初にチャレンジする
L職と言われるグレードテストも不合格です。
ちなみにL職テストはほとんどの社員が合格します。
実務もダメ、試験もダメ、典型的なダメ社員でした。
そんな下の下の社員ですから、
当然ながら中内さんと会う機会は一切ありません。
定期的に、全社員に配布される中内さんから
メッセージ(From 中内CEO)レターが唯一の接点
でしたが、読み込むこともせずにすぐにゴミ箱に
捨てていました。
ただ、CEOという肩書が気になっていました。
CEO???なんやそれ?
ちなみに日本の経営者で最初にCEOを使ったのが
中内さんです。
当時から時代を先行する経営者でした。
中内さんは、第二次世界大戦の地獄の戦場から
帰還されて、事業を興して当時格下と思われていた
小売業を巨大産業に育て上げて1972年には三越を
抜いて、小売業売上高首位。
1980年には、日本で初めて小売業界の売上高1兆円を
達成。その後、あらゆる業態でビジネスを拡大し、
ダイエーグループ(ダイエー王国)を形成し、
中内さんは、名実ともに流通王と呼ばれ、経団連副会長
にも抜擢されました。
全国の地場スーパーマーケット、プロ野球球団、
ホテル、プランタン、リクルート、ハワイの
ショッピングセンター、外食、テレビ局・・・
衰えることなく、勢いを増す一方です。
1993年には、流通業界出身初の勲一等瑞宝章を受章。
1984年にレジオンドヌール勲章を、2000年に
イサベル女王勲章を受章しています。
晩年は、辛く寂しいことになりましたが、戦後を
代表する大経営者であり、経済界に残した功績や
影響力は今も色褪せることはありませんし、
これほどスケールの大きい経営者は、二度と
現れないとも思います。
経営者として天の邪鬼で強引な方だったようですが
生涯変わらなかったのが、顧客の為にの精神です。
中内さんの経営理念の”For The Customers”です。
そのことを象徴するのは、バブル崩壊後でダイエーの
経営が厳しくなり始めた頃の1995年1月に
阪神淡路大震災発生直後の中内さんの行動です。
東京の自宅で大震災をニュースで知った中内さんは、
地震発生1時間後の午前7:00に被害がない
東京浜松町本社に災害対策本部を設置。
さらに開けられる店舗(ダイエー、ローソン)は
すべて開けるように、開けられない店も
明りを灯すこと、路上でもいいから在庫している
飲食料品を売ることを指示しています。
同時に、役員を含めて福岡、東京から支援部隊を
大量の物資とともにヘリコプターまで使って
送り込みます。
低迷していたダイエー自体も大震災でトドメを
刺されていたにも関わらず、自社の再建よりも
お客様を優先して、お客様の為にすべての
用意できるリソースを惜しみなく投入しました。
ちなみに、当時の村山内閣が対策本部を設置
したのは、地震発生3時間後の午前9:00です。
”はじめてのことなので・・・”と首相がオドオド
しながら、機能マヒを起こして有効な指示が
全くできず、初期被害を拡大させたこととは
雲泥の差です。
なお、村山首相は初動対応の失敗を認めて謝罪し、
全責任を持つのでとして、全権を現場に与えて
震災対応を迅速に進めたことは評価されています。
阪神淡路大震災発生直後の中内さんの一連の
動きは、有事での正しい思考であり
正しい行動です。
もし、今、中内さんが健在なら具体的に
どんな対策を講じるのかはわかりませんが、
国民の命と経済を守る行動を躊躇なく、迅速に
実行することは間違いないと思います。
有事の今こそ、中内さんのようなリーダーが
求められています。